観ました。
すっっっごい良かった。
すっごい面白かった。
あんまり期待してなかったんだけどこんな面白いと思わなかった・・・!

全体的に、音楽がほとんどなかったり人物があんまり動いてなかったり風景美が続いたりと、ある種の空気を描くというか、絵画のような映画だったので人によっては退屈かもしれませんね。
好む年齢層は高めだと思う。
登場人物は基本的にみんな無口だしね。
音楽は時々かかるんですが、全部いい曲でしたよ。
しっとり系で映画にすごくよく合ってた。
あらすじは、寺井家という武家の一人娘、以登の初恋のお話。
剣の達人の以登さんが、たった一度だけ剣を交わした江口孫四郎に淡い初恋を抱くんだけど、許嫁がいるので諦めてしまう。
そして孫四郎の方も別の人と結婚したという話を聞いてから1年後、孫四郎は自害してしまって、以登が許嫁の協力を得て孫四郎の自害の真実を探っていくお話。
おばあちゃんになった以登が孫たちにお話をする形で始まるんだけど、おばあちゃん役の人の声がすごい引き込まれる声で、そして冒頭に出てくる満開の桜がとても綺麗で、ぐいぐい引き込まれました。
満開の桜の下でお花見をする女性たちの中、以登の着た薄紫の着物が清々しく映ってとても綺麗でしたよ。
北川景子は最初オーラないなーとか思ってたんですが、見て行くうちに以登役は彼女しかいないと思わされました。
花見から帰った後に普通にその着物のまま竹刀振ってたのでかなり衝撃を受けましたけどね。
ああ・・・そうですよね!武家のお嬢様はそれが普段着なんですもんね!(;´д`)
わざわざ稽古着に着替えたりしないのね!
そして裸足ですか!
なんかもうすごいな、潔いな!
でも普段はとても清楚でおしとやかなお嬢様でした。
孫四郎はいかにも堅物って感じの爽やか美形でした。
以登との試合は見てて面白かった。
なんつーか、普通の剣道じゃないのね。
古武術?みたいな感じの動きでとても面白かったです。
そして以登は流石に試合では稽古着着て髪をひとつに結っていたんですが、それが凛々しくてとても綺麗でした。
なんか遥か3の主人公を思い出しました。
まああんな明るい女性じゃないけどね、以登は。
そしてほのかな恋心に釘をさすお父上。
父上も無口な人でしたが娘思いのいい父上でした。
孫四郎殿と試合したいですって言ったら家に呼びつけてくれて試合の審判まで務めてくれるし。
試合後に庭を見て回らせてお茶を楽しむ時間を与えた後に「許嫁がいるのだから二度と会うな」みたいな。
優しいんだかなんだか・・・(;´ω`)
でも孫四郎が自害した時も一言教えてくれたりとか。
かと思えば、いざ娘が嫁ぐっていう時に自害用の小刀くれたりとか。
厳しくも温かいお父上でしたよ。
なんていうんだろ、全体的に派手なイメージじゃなくて時代劇の地味なところをひたすら撮ってたと思う。
娘たちのお稽古ごとの場面とか、色々な作法とか、家の身分とか長男とか次男とか三男とか、孫四郎のお城のお勤めのシーンとか。
孫四郎のお勤めのシーンは見てて胃がキリキリしましたよ・・・
わかる、なんか孫四郎が次第に思いつめて行く空気がわかる。
自害するまでの流れがもうね・・・
日本人的な陰湿さが出てたわ。
城勤めマジ怖いわー(;´д`)
がんばってたよ孫四郎、ほんとがんばってたよ。
結婚した途端に身分とか何もかも変わっていきなり大役を務めないといけない、作法とか色々覚えないといけない、剣ばっかりやってた人がいきなりアレは本当に大変だったと思う。
真面目なだけになおさらね。
その自害の話を聞いた以登がどうしても自害の理由を知りたいのです、と相談を持ちかけたのが許嫁の才助だった。
才助は本当に孫四郎の真逆な男で、にこりとも笑わない堅苦しい孫四郎とは違っていっつも人好きのするというか屈託のなく締まりのない笑顔で遠慮なくよく食べよく喋る調子のいい男で、最初は若干ヒいて見てました(笑)
でも以登に相談を持ちかけられたら真面目な顔になって、孫四郎の死因を突き止めるためにかなり動きまわって働いて足も付けないという有能ぶりを見せてスゲーと思った。
以登もかなり一途だったけど、他の男の死因を知りたいという許嫁の頼みを何も言わずに一生懸命こなしてくれた才助もかなり一途ないい男だと思う。
泣かされた、才助には本当に泣かされたよ。
以登がやり遂げた後の才助の笑顔を見たらぶわーっと涙が出た。
なんでこいつこんなに優しいんだよおおおおお!!(つд`)゚・
確かに以登は婚約者だけどご飯出してくれるくらいで冷たかったじゃん、にこりとも笑わないし口調も固いし他の男のことばっか考えてるし、それなのに何も言わずに以登の頼みを聞いて支えてくれる才助が本当に救いのように見えた。
まあ、流石に心配にはなってたみたいで一度だけ孫四郎との関係を聞いてたけど、答えを聞いた後の安心した笑顔がすごく愛を感じました。
あんたどんだけ以登のこと好きなん・・・!
全部観終わったら孫四郎が完全に霞んだよ。
もう才助しかいねぇ!!ってなった。
最後にまた花見のシーンで終わるんですが、同じ場所だけど以登と一緒にいるのは孫四郎ではなくて才助。
ここで初めて以登が才助に笑顔を向けて、初めて才助をじっと見つめて一緒に歩いていくようになるのです。
愛の形は色々あって、以登の初めての恋は実ることはなかったけれども。
その初恋ごと包みこんでくれる伴侶と巡り合えたこともまたひとつの幸せなのかもしれないなって思いました。
あと、景色がすごく綺麗だった。
人はドロドロしてたけど(笑)
日本の四季は美しいなと改めて思いました。
ラストで以登がこれ以降お花見には二度と言ってないとかシビアなこと言ってたけど、私はお花見行きたくなりました(笑)
満開の桜の色が悲しい色に見えてしまったらしい。
自分の初恋、花が終わってしまった後だから悲しく見えてしまったのね。
タイトル通りの話だった。
花が咲いて、その後に実るものがある。
その後に歩いていく道がある。
それを見つけるまでのお話。
とても静かで一途で情熱的で、温かいお話でした。